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繁殖と産卵

宇野系らんちゅうは血統を大切にします。故宇野仁松氏の作り出したらんちゅうの美を保ち、その審美観を追求することが宇野系らんちゅうの証でもあるからです。

「故宇野氏の描いた美に、いかに近づくか」こそ、宇野系らんちゅうを飼育する醍醐味と言えるかと思います。ですから、繁殖に取り組む方々は特に交配と選別に気を配ります。遺伝子は不思議なもので、確実に形質を伝える方法はありません。
基本的な繁殖の方法をご紹介致しますが、ぜひ理想の宇野系らんちゅうを目指して、色々と試されて下さい。

親魚の選び方

宇野系らんちゅうの特徴をより良く持ち、なるべく欠点の少ないらんちゅうを選ぶ事が基本です。歳は三〜五歳魚が良いでしょう。産卵受精が安定していますし、なにより宇野系らんちゅうの特徴をはっきり確かめることが出来るからです。

具体的には、頭の肉瘤が立派で美しく、体型はバランスの取れた小判型で小降り、鱗がきめ細かく美しい、尾は小さめで形が良い、全体の色彩がはっきりしていて美しいものとなります。
とは申しましても、品評会で高評価されるようならんちゅうから必ず良い子が産まれるかというと、その限りではありません。仮に欠点があっても特徴が優秀ならば、雄と雌で欠点を補うように交配させる事でより良い形状の子が産まれる場合もあります。最終的にどのように親魚を選ぶかは、飼育者の判断です。

より効率的な仔引きには、親の形質が子に伝わりやすいかどうかが大切です。らんちゅうに限らず金魚は遺伝子変化が起こりやすいので、違う形質の子が多く産まれます。宇野系らんちゅうの特質を受け継いだ子の割合が多ければ多い程ほど、優秀な親魚と言えます。これは何年か仔引きと育成を試みなければ分からない事ですので、長い経験を積まれた方に相談され、適切な親魚を譲り受けることが一番確実な方法です。

産卵から孵化

産卵の時期は土地柄や気候によって変わりますが、だいたい冬眠から覚めて一ヶ月後の4下旬〜5月初旬になります。水温の調節によって産む時期を早める事もできますが、宇野系らんちゅうの場合は自然な飼育を心がける方がよいでしょう。

選んだ親魚は前年秋より病気にかからないよう特に気をつけます。雄雌を別の飼育槽に移しておきましょう。冬眠あけという事もありますし、体力をつけさせたいところですが、太らせすぎると産卵障害が起こりやすくなります。

餌はやや多め程度に抑えて下さい。雌のお腹が膨らみ、雄のひれの前端あたりに白い点(追星)が現れたら産卵が近い証拠です。産卵用飼育槽や道具を消毒し、市販もしくは手作りでも構いませんが産卵用のネットと下敷きを入れます。

受精率を高くするため、雌一匹に雄二匹(兄弟)で対にして下さい。血統の確認を徹底したい場合や、目的がはっきりしている場合は雄雌一匹ずつで交配させます。
屋外飼育なら雨上がり、室内飼育なら水換え後など、水温水質の変化が産卵のきっかけになる事が多いので、よく観察してみましょう。産み終わり水が薄く白濁化したら、すぐ親魚を別の飼育槽へ移します。産卵後は体力が落ちていますから、病気にならないように特に気を配ってあげて下さい。

産卵後はエアーレーションをしっかりして水中に酸素を充分行き渡らせましょう。水温は20度に保ちます。高いほど孵化する時間は短くなりますが、早い細胞分裂のせいか奇形も多くなる傾向があるからです。精子と無精卵の腐敗によって水質が悪化しますので、1〜2日目に別に準備した飼育槽に卵がついた産卵ネットと下敷きを移動させます。水温20度の場合、受精後約5日程で孵化します。